【新耳袋 第二夜】元祖怪談集 木原 浩勝 中山 市朗

読書歴

新耳袋 第二夜を読了。

以前の投稿で紹介した、『新耳袋』シリーズの第二巻です。

【中古】 新耳袋 現代百物語 第2夜 / 木原 浩勝, 中山 市朗 / KADOKAWA [文庫]【ネコポス発送】

色々と収穫があったので、簡単にまとめてみました!

未来のオカルトを予見したかのような原石

注目したのは、「第十一章 小さきものたちの六つの話」です。

以下の文章は、「小さきものたちの六つの話」に収録されている話の一部です。

あっと思ってあたりを見渡すと、ベランダの窓のカーテンレールの上に赤いトンガリ帽子に赤い服を着た体長十センチくらいのかわいい子供が腰掛けている。

新耳袋 第二夜 現代百物語 (角川文庫) / 木原 浩勝

こちらは、2009年頃からオカルト界隈で話題になった『小さいおじさん』の都市伝説に関連しているのでしょうか??(もしご存じでないか方がいらっしゃいましたら、ググってみてください…。)

ちなみに本書は、2002年(平成14年)初版となっているので、7年以上前にすでに『小さいおじさん』と似たような体験をした方がいたという事実が、こちらの都市伝説の信憑性を高めていますね。

実際には、六つの話はどれも短い文章で綴られています。しかしながら、体験談そのものが、どこかメルヘンチックであり、既存の幽霊話の枠組みを超えたところに新鮮味があると思います。

また読後感としては、純粋な恐怖とは別の不思議な余韻を残すといった意味では、やはり反響も大きかったのではないかと想像しています。

本物の実話怪談としての存在意義

怪談界の大御所である稲川淳二さんが出演していた関西の深夜番組で、この番組にまつわる話も収録されていました。

ここ最近では、もう怪談を題材としたTV番組は減ってしまいましたが、この時期には怪談やオカルトを取り上げたTV番組が多かったのを記憶しています。

『恐怖の百物語』(きょうふのひゃくものがたり)とは、1991年4月2日から同年9月24日まで関西テレビの深夜番組放送枠「TV-DOS」で放送されたトーク番組である。
一般からの参加者たちがスタジオで稲川淳二らに自身の心霊体験を語っていた深夜番組で、畑中啓司が司会を務めていた。番組のラストでは、霊能者の佐原衣唆往が参加者たちのお祓いをしていた。他に、特別ゲストとしてあべ静江と船越英一郎が出演した。最終回では、稲川が呪われた生き人形の話をした。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』恐怖の百物語
最終更新 2023年5月15日 (月) 22:45

世間的には、ちょうど心霊ブーム真っ只中であったので、『誰かが、〇〇の場所で幽霊を見た』という事実があって、話の最後で種明かしと言わんばかりの『実は、ここは昔、△△~だった』というオチ、で構成されている、巷の創作怪談話が飽和状態となっていたのではないかと思います。

そんな中、ここまで創作の要素がそぎ落とされた怪談の原石というようなスタイルの書籍は珍しく、また新鮮であったのではないかと思います。

厳密にいうと、取材した話を文章に落とし込んでいるわけで、直に体験者から聞くという行為に比べると、僅かながら取材者といったフィルターを通すといった編集作業を通じての、創作とは別の不純物は含まれているのではないかと個人的に思っていますが…。

本当は、このシリーズの第一夜~第十夜までの話の傾向を、色々な角度で分析すると何か発見があるのかな、なんて漠然と思っておりますが、まだまだ読むのが追い付かなくてすみません、精進いたします。

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