【平成怪奇小説傑作集 1】平成の怪談について 東 雅夫

読書歴

時代を平成に遡って、どのような怪談作品が生まれたのか、読んでみたい方にお勧めの一冊です。

平成怪奇小説傑作集 1 創元推理文庫 / 東雅夫 【文庫】価格:1,430円

本書の編集者について

文芸評論家、編集者として活躍されている東 雅夫(ひがし まさお)さんです。

アンソロジー集として、著名な作家の作品が纏められています。

2019年に出版された本書には、平成の怪談作品の一部が色とりどり纏められています。

アンソロジーとは

アンソロジー(英: anthology、仏: anthologie)は、異なる作者による作品を集めたものまたは、同一作家による作品集[1]。詩撰歌撰詞華集。詩以外を扱う場合は選集
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』アンソロジー – Wikipedia
最終更新 2022年10月1日 (土) 12:27

ホラー・ジャパネスクとは

『ホラー・ジャパネスク』といったワードを聞いたことはあるでしょうか。本書の解説ページで見かけたため、調べてみました。

『日本固有の恐怖や神秘の世界に深く魅せられ、それを創作の糧として、新たなる「伝奇と怪異」の文学を生み出そうとする作家たちの動向』ということです。

1990年代からの十数年間で世に登場した怪談作品によって生まれた潮流で、日本由来のオカルトやホラーを源泉とした作品群を、本書の東雅夫さんが『ホラー・ジャパネスク』と名付けています。

作品の紹介

こちらは、蒼々たる作家さんたちの作品で構成されています。

作品            作家             
ある体験    
墓碑銘〈新宿〉 
光 堂     
角の家     
お供え     
命 日     
正月女     
百物語     
文月の使者   
千日手     
家ー魔象   
静かな黄昏の国 
抱き合い心中  
すみだ川    
布団部屋    
吉本ばなな
菊地秀行
赤江瀑
日影丈吉
吉田知子
小池真理子
坂東眞砂子
北村薫
皆川博子
松浦寿輝
霜島ケイ
篠田節子
夢枕獏
加門七海
宮部みゆき

個人的には、霜島ケイさんの『家ー魔象』という作品がどストライクでした。

こちらは、「三角屋敷」という実際に霜島ケイさんが体験した話が元になっております。結構有名なお話なので、勇気のある方は、ネットで調べてみてくださいね。

日影丈吉さんの『角の家』は、日常に潜む怪異を描いた作品、隣の家の異様な様子をじわじわとした恐怖描写で綴られていて癖になりそうで、読後感はちょっと不思議な気持ちに…。こういった形式の筋で、登場人物の会話量よりも、主人公の考察の比重が多い場合は、話が進行していくとともに不気味なリアルさが際立つ気がします。

全体には土地や家に根差した物語が多い印象です。

すべての作品を紹介しきれないのですが、興味のある方はぜひ!

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