【アッシャー家の崩壊】難解?!エドガー・アラン・ポオ

読書歴

ポオ小説全集(1) (創元推理文庫) [ エドガー・アラン・ポー ]価格:792円

創元推理文庫から1974年に出版された、「ポオ小説全集」を読みました。

短編作品集なのですが、解釈が非常に難しいので、感覚で理解をしてもいざ文章に纏めようとすると苦労しました・・・(^_^;)

代表作「アッシャー家の崩壊」の世界観

旧友のアッシャー家の屋敷を訪れた主人公が屋敷内で怪奇な体験をする物語。
原文において、舞台は明記されていませんが、ポオはボストンのルイス・ウォーフに実在した「アッシャー家」の屋敷で起こった事件から着想を得ているそうな。

主人公が旧友の屋敷を訪問する場面から物語は始まります。


ひっそりとひそみかえった、もの憂く暗いとある秋の日、空に暗雲の重苦しいばかり、低く垂れこめた中を、わたしは終日馬にまたがり、ただひとり不気味にうらぶれた地方を通りすぎていた。

アッシャー家の崩壊 エドガー・アラン・ポー 河野一郎訳 より

ポオの読書歴

もともと詩作で身を立てようとしていたポオですが、「アッシャー家の崩壊」ある部分には、彼の西洋の古典文学・詩への造詣の深さが垣間見えます。

主人公と旧友ロデリック・アッシャーの会話で、本の世界に耽溺するといったシーンがあり、書籍名が列挙される部分があります。

われわれの読んだ書物―長年の間この病人の精神生活の少なからぬ部分を占めてきた書物―は、

アッシャー家の崩壊 エドガー・アラン・ポー 河野一郎訳 より

書籍名のリストは、実在する本のようでした。
私の知識が及ばずで、詳細を特定するに至らなかったものもありますが、可能な限りググってみました。

※【】内が作品からの引用部分です。

【グレッセの『ヴェルヴェルとシャルトルーズ』】
グレッセ = ウジェーヌ・グラッセ ??

【マキャヴェリの『ベルフェゴール』】
マキャヴェリ = ニッコロ・マキャヴェッリ ??
作品名「大悪魔ベルファゴール」。

【スウェーデンボルグの『天国と地獄』】 
スウェーデンボルグ = エマヌエル・スヴェーデンボリ
作品名「天界と地獄」。邦訳あり。

【ホルベルヒの『ニコラス・クリムの地下の旅行』】
ホルベルヒ = ルズヴィ・ホルベア
作品名「ニコラス・クリミウスの地下世界への旅」ノルウェー生まれの作家らしいです。

【ロバート・フラッド】
イングランドの医師。

【ジャン・ダンダジネ】
※不明

【ド・ラ・シャンブルの『手相学』】
※不明

【ティークの『遥かな蒼い彼方へ』】
ティーク = ルートヴィヒ・ティーク
ドイツのロマン主義を代表する作家。

【カンパネラの『太陽の都』】
イタリアの哲学者「トンマーゾ・カンパネッラ」の作品。邦訳あり。

その他の収録作品について

その他の収録作品について紹介します。

「ベレニス」 (Berenice, 1835年)
偏執症(マニア)な男性が主人公の怪奇小説。こちらの作品は、フランスで映画化されています。

「モレラ」 (Morella, 1835年)
怪奇風の独特な輪廻感を感じる作品。主人公はひとりの傍観者となって淡々と物語は語られる。

「ハンス・ブファアルの無類の冒険」 (The Unparalleled Adventure of One Hans Pfaall, 1835年、未完)
ハンス・ブファルは、事業に失敗し、借金を抱えてしまうが、たまたま立ち寄った本の露店で、「新天文学」という本が目に留まり、その場で購入。この本をきっかけに、一風変わった冒険が始まる。ユーモア多めです。

「約束ごと」 (The Assignation, 1834年)
巨万の富を保有しているメントーニ侯爵とその夫人の物語。
主人公は、侯爵の館で狂気じみたとある事件に遭遇する。

「ボンボン」 (Bon-Bon, 1832年)
哲学者であり凄腕の料理店主であるピエール・ボンボンにまつわる話。
後半では、悪魔めいた描写のあるホラー小品。

「影」 (Shadow, 1835年)
非常に短い作品。物語の語り手は、「影の領域に踏み込んだ者」=死者??と自称している。

「ペスト王」 (King Pest, 1835年)
感染症(ペスト)を題材にしたポーの著作中でも有名な作品。
1665年のロンドンで起こった大疫病(ペスト)を題材にしており、当時はペストが人々の間で恐れられていたにも関わらず、感染経路が特定されていなかった。作中では、未特定の病原菌の感染経路を、怪奇的な発想に代替し、恐怖を演出している。

「名士の群れ」 (Lionizing, 1835年)
「鼻理学」といった架空の学問を追求する男の話。
想像ですが、ポオが17歳の時期にヴァージニア大学を養父アランと仲たがいになり退学した経験が元になったのでは…と思いました。

「オムレット公爵」 (The Duc De L’omelette, 1832年)
オムレット公爵は、死後の世界で、悪魔と出会った。ユーモア多め。

「四獣一体」 (Four Beasts in One, 1836年)
古代ギリシャのセレウコス朝時代、マカバイ戦争をもとにした作品。
第三者視点で歴史を遡った視点で描かれている。

「リジイア」 (Ligeia, 1838年)
最愛の妻に心酔している男の物語で、詩的な表現が多い印象。
「霊魂が前世に存在したことを信じた」とされる、イギリスの神学者 ジョウゼフ・グランヴィルの引用が添えられている。

「実業家」
「実業家」を自負するある男の物語。全体的にユーモラスな作品で、所々男の発想が面白くて笑える作品。

今回は、かなりカロリー高めの作品の紹介でした・・。

気になった方は、ぜひ確認してみてくださいませ!

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